Tsuchida & Associates日米にわたる国際税務

Tsuchida & Associateshaは日米に渡る国際税務に関する問題を解決いたします。

お知らせ

2024.03.24
所得税

Schedule Bに気をつけて

ScheduSchedule Bは、利子と配当を記入する付表だ。フォーム1099-INTおよび1099-DIV等の情報からSchedule Bを完成させ、付表はForm 1040のline 2aや2bやline 3aや3bにつながる。 アメリカの金融機関からはForm 1099-INT, Form1099-DIV, Account statementをもらう。報告対象はそれだけにとどまらない。日本に住んでいる人、または海外に住む日本人なら日本に金融口座を持っている。日本の利子や配当もForm 1040申告の対象だ。自分で情報を集めて申告をすることになる。 一生懸命、時間をかけてSchedule Bを作った。ところが利子又は配当のいずれかが$1,500を超えないとSchedule Bの提出要件を満たさない。Schedule Bを出す必要がないと気づく。この場合は、最初からForm 1040に記入すればそれだけの話と思うかも知れない。 しかしこのSchedule BのPart 3は、情報申告とつながっている。情報申告は税務申告の他に、様々な情報を報告する制度で、外国金融口座の残高報告もその一つだ。つまりPart 3が何なのか意識もせずに読み飛ばし無視をすると、最悪の場合、情報申告のペナルティに跳ね返ってくる可能性がある。 Schedule BでPart 3の申告要件を意図的に失念し、口座や残高を隠そうと努力することは申告義務を無視したとされ、意図的な無視となり得る。 一方で、Schedule Bで間違えて違うボックスにチェックを入れたり、どこにもチェックを入れなかったりしたことだけでは、意図的に無視したことにはならない。 外国金融口座の申告を行わないペナルティには二つある。Willful Conduct(意図的な行為)とNon Willful Conduct(意図的でない行為)の二つに対するものだ。 これによってペナルティの重さが異なる。Willful Conductは申告漏れの対象財産の上限50%か$100,000の大きい方であり、場合によって刑事罰もある。Non Willful Conductは上限$10,000だ。もちろん機械的に適用されるかどうかはあるにせよ、可能性は排除できない。 Schedule B Part 1, Part2に情報を記載してお終いではなく、むしろPart 3を忘れずに記入することが必要だ。

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2024.03.17
所得税

日本の給与をForm 1040に入力する

日本からアメリカに申告をするケースの話だ。Form 1040の最初の行1aはForm W-2のボックス1のデータを入れると書いてある。そもそもForm W-2とは何だと調べて、日本で会社からもらう給与の源泉徴収票の事だと理解する。 早速、日本の源泉徴収票から給与を報告するため、Form 1040とにらめっこして支給金額をline 1aに入れる。日本の源泉徴収票の情報は日本語でも良く分からない。何となくアメリカとは関係なさそうだから、まあいいかと思い、源泉徴収額はPayments line 25aの所に入れると判断する。 Form 1040のline 12で標準控除を入れ、line 15で課税所得が出る。課税所得に税率が掛けられてline 16で税額が発生する。この税額からline 25aで源泉徴収された分を引く。 税額と源泉徴収された額との大小比較する。税額<納付金額 ⇒差分を還付税額>納付金額 ⇒差分を納付 大枠はこれで良いと思う。アメリカに住んでいる人でForm W-2の場合はそれで良いだろう。 しかし、日本に住んでいる場合、源泉徴収額はアメリカに対して支払っているものではない。日本に払っているものだ。それを税額の精算をする時に使って話はおかしくなる。そんなの当たり前じゃないかと思うだろう。その判断がつくなら良い。 この場合は、日本の給与はLine 1aではなくline 1hのOther earned incomeに入れてline 1aには入れていないだろう。もちろんline 25aにも入れない。 ところが、税務ソフトを使って申告書を作ろうとする場合だ。画面と対話して情報をどんどん入れていく。税務ソフトはアメリカの実態に合うようにできている。海外の個別的な状況を必ずしも全部取り込めずに限界がある。機械的に日本の源泉徴収額をTax withheldという所にうっかり入れかねない。 その結果、出てきた答えが還付だ。でも、アメリカに税金を払っていないのに、税金の払いすぎだから、アメリカから還付ってどんなことかわかるだろう。 すると一つの給与に対して日本の税金を払い、アメリカの税金を払うことになって二重課税になってしまう。これを避けるためには外国税額控除を使ってとかになると、いきなり複雑な領域に足を踏み入れることになりかねない。 ソフトを使う側がある程度の知識があり、ソフトの出す答えが正しいのかどうか判断できなければいけない。これはAIが出してくれる答えを、そのまま飲み込んではいけないと言う事に通じる。

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2024.03.10
所得税

どこから申告書を作るか

申告書を作るにはデータを集めなければいけない。データが集まったら申告書に記入していく。この申告書は本表であるForm 1040とその部分を構成する付属表から成り立っている。 Form 1040は個人の所得税を申告するフォームの名前だ。さらにその部分を構成する次のような付属表がある。 Schedule A: 項目別控除Schedule B: 利子・配当Schedule C: 個人事業主の事業損益Schedule D: 譲渡損益Schedule E: 賃貸事業Schedule SE: 自営業税計算その他 さて、集まったデータをもとに、本表であるForm 1040に記入する。頭から単純に数字を記入できると良いのだが、個人事業や賃貸事業などがあったり、株や不動産などの譲渡損益があると付表に記入することになる。 例えば個人事業を行っているとSchedule Cを使う。賃貸事業を行っていればSchedule Eを作る。株式の譲渡損益だとSchedule D なのだが、その前にForm 8938を作ることになる。 これらの付属表を作っているうちに、所得や経費が漏れていたり、減価償却計算が間違っていたりとかすれば、その都度付属表を直していく。 付属表と本表は連動しており、付属表の中身が変わるごとに本表が変わってしまい、その修正を何度も行うことになる。やっているうちに何がどこまで連携しているのか迷子になりかねない。 と言うことは付属表をしっかりとまとめてから、本表に転記すれば良い。付属表ごとにブロックとしてまとめ、そのブロックを積み上げて申告書Form1040が出来上がる。付属表ごとに下から積み上げて出来上がった申告書を、さらに上から見直して全体がきちんと整合しているか確認する。

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2024.03.03
所得税

日本に住んでいるからアメリカに申告しなくてよいか?

日本に住んでいるのでアメリカに申告しなくて良いということは正しいだろうか。正しくもあり、間違ってもいる。申告をしなくて良いケースがあれば、申告をしなければならないケースもある。 基本的に申告の要否は居住者と非居住者で別れる。居住者とは住んでいる人のことだから、アメリカに住んでいない。だからアメリカに申告することはないと単純には言い切れない。 アメリカの税務では居住者を属性で判断する。アメリカ税務上の居住者か非居住者か判断する時に、次の3条件のいずれかを満たせば居住者となる。すべて当てはまらないとアメリカ非居住者となる。 (1)アメリカ市民権を持っている(2)グリーンカードを持っている(3)Substantial Presence Testによりアメリカ滞在日数が183日を越えている㊟ アメリカは属人的に居住者・非居住者の判断を行う。アメリカを除くほとんど世界中の国は属人的な判断をしない。その国に足を載せて住んでいる人が居住者だ。国外に転出するとその国の居住者ではなくなるという属地的な考え方を取る。 アメリカは属人的に判断するので、住んでいるところは影響しない。日本に住んでいても上述のアメリカ市民権を持っている人、グリーンカードを持っている人は税務上のアメリカ居住者だ。アメリカの申告の対象者となる。 では、全くアメリカ市民権やグリ―ンカードと縁がない人はどうだろう。アメリカの税務と接点がないと考えると間違えることがある。次のようなアメリカを源泉とする所得があれば、アメリカの申告対象となるからだ。 給与所得: アメリカで役務を提供して得た給与、賞与、退職金など事業所得: アメリカで事業を営んで得た所得不動産所得: アメリカにある不動産から得た賃貸料など譲渡所得: アメリカにある資産を譲渡して得た所得配当所得: アメリカの投資から得た配当その他 日本に住んでいる人であっても、アメリカを源泉とする所得があればアメリカの申告が必須となる。 アメリカに1週間、10日出張してアメリカで役務を提供した人もすべてアメリカの申告をしなくてはならないのか。理屈はそうなるが、日割り計算をすることになり、あまりにも申告の負担が大きくなる。この場合は183日以内の滞在で、自国から給与が払われている場合、日米双方で出張にかかわる給与は相手国の所得税の非課税としている。 日本に住んでいるからアメリカの申告の対象外、と単純に考えると間違えることがある。㊟(Substantial Presence Testの数え方) ①当年度の滞在日数が31日以上ある②申告対象年のアメリカ滞在日数+申告対象年の前年のアメリカ滞在日数×3分の1+申告対象年の前々年のアメリカ滞在日数×6分の1≧183日

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2024.02.25
所得税

スタート地点で転ばないで

申告を行う時に基本情報として申告をする人、家族の名前、住所、社会保障番号、生年月日などが必要になる。 この基本的な情報でも、正しい情報でなければ申告書を受け付けてもらえず、申告ができなくなる。 (名前) 結婚して名前が旧姓と新姓で変わっている。当然、新姓を書くと思うだろう。IRSは名前と社会保障番号の突合せを行う。社会保障カードの社会保障番号と名前が正しいものとする。社会保障カードが旧姓ならば、新姓の人は間違えている事になってしまう。 そうならないためには社会保障カードの名前を新姓に直す。しかし、手続きをして時間がかかってしまう。いよいよ時間がない場合は、旧姓を記載すれば申告書の段階ではそのまま通る。 (社会保障番号) 社会保障番号が間違えていたら正しい番号に直した修正申告を行う。電子申告だと申告書を送信する時にエラーが出て申告できないため、その段階で修正できる。 そもそも社会保障番号が無いことがある。社会保障番号がない場合は、社会保障番号の取得を申告よりも先に行う。社会保障番号を取れない場合は、納税者番号を取得することになる。これが一仕事だ。 自分の番号はあっても配偶者や子供の番号がない場合もある。個人は社会保障番号、納税者番号で認識されるので、番号が無ければ存在を確認できない。この場合は名前を記載することはできても一緒に申告したり、子供の控除を取ることは難しい。 (住所) 住所は自分の本拠とする住所で、きちんと連絡がつくところを記入する。仮にアメリカから日本に本帰国して、日本に住んでいる人がアメリカの住所を記載したとする。IRSは還付の小切手を申告書に記載されている住所に郵送する。誰も住んでいないところに小切手が届けられて紛失してしまう恐れがある。 やっと手元に小切手が届く。ところが小切手の有効期間は発行から1年で、失効してしまっているということもあり得る。 還付ではなく、納付を求められる手紙をもらう。この手紙も自分に届かないと大変だ。やっと自分の手元に情報が届いて時には、延滞金や金利であっという間に税金が雪だるまのように膨らむこともあり得る。 住んでいない州から、なぜ州税の申告がなされないのかと督促を受けることもある。 (生年月日) 生年月日を間違えることにより、追加の控除を取れなかったり、年金の引き出しでペナルティの対象になることがある。 いずれにせよ、申告書の入り口で動きが取れなくなると困ってしまう。一生懸命、アメリカの申告をしようとしているにもかかわらず、手続きで壁に当たると思いのほか苦労する。 申告書の内容に入り込む以前の段階では問題なくクリアしたい。

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2024.02.18
その他

AIによる双方居住者のFBAR

日本を出国しアメリカに住むようになる時、あるいはアメリカから日本に帰国する時に、たいていは年の途中のタイミングとなる。ということは、日本を出国する場合、1年間のうちにアメリカ非居住者とアメリカ居住者である期間が混在する双方居住者(Dual Status Alien)となる。帰国する場合は順序が逆になる。 この場合は居住期間を居住者として、非居住者期間を非居住者として申告をする。又は通年、居住者として申告を行うこともできる。 さて、話はAIとなる。最近はAIの発展がものすごいので試してみた。双方居住者のFBAR申告はどうなるのか? と聞いてみた。答えは一瞬で驚くばかりの速さだ。しかし回答を見てあれっ、これは違うだろうという答えが返ってきた。 年末時点でアメリカの居住者の場合、FBARの申告要件の金額を$50,000としている。$50,000を超えない場合は申告を要さないと言っている。これは$10,000の間違いで$50,000はFATCAの申告要件だ。 そこで$50,000の根拠を求めると条文を示してくれる。しかし全く関係のない条文だった。 これは違うでしょうと確認すると、税務の専門家ではないので詳しくは税務の専門家に確認くださいと腰が引けている。 さて、一日過ぎて同じ質問をしてみた。しっかりと$10,000という答えに代わっているし、答え方もしっかりしている。確かに学習している。これはすごい。 仮に学習前の情報を見た人が、$50,000が基準額だと思ってしまったらどうなるのだろう。 完全に手放しで、内容を丸のみをしてしまうと適切ではないこともあると肝に銘じ、自分でもしっかり確認することが必要だろう。 しかしながら、確かに確認をしなければいけない答えを返してくれるかもしれないが、その答えは十分に実用的だと感じた。このスピードで進化したら5年後、10年後にはどんな世界が来るのだろうと思ってしまった。

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