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2024.04.28
所得税

日本居住者のアメリカ源泉所得

日本からのアメリカへの申告はまだまだこれからで、連休明けに腰を上げようという人もいるだろう。日本に住んでいる人ではアメリカの市民権やグリーンカードを持っていない場合は、一般的には税務上、アメリカ非居住者となる。 アメリカ非居住者はForm 1040-NRを使って申告を行う。申告の対象となる所得は、アメリカを源泉とする所得となる。一般論としては次のようになる。 アメリカ国土に物理的に存在する財産から得られる所得はアメリカ源泉所得となる。アメリカにある不動産を賃貸して発生する賃貸所得や、アメリカの不動産を譲渡して譲渡益とかだ。あるいはアメリカに会社を持っていてアメリカで事業を行っていれば申告の対象となる。 アメリカの銀行に預金口座で発生する利息は、税務上、米国非課税だが、事業での口座では課税される。米国株式の投資からの配当金は、米国で10%の源泉徴収をうける。 日本居住者が米国株式を売却して得た譲渡益は、米国で課税されることはない。しかし、米国株式の売却益が、米国事業の所得として生じた場合や、米国にある恒久的施設に関連する所得として生じた場合はこの限りではない。 給与所得の課税場所は、役務がどこで提供されたかによって決まる。アメリカで勤務したした場合は米国課税で、日本国内で勤務した場合は日本国内で課税される。日本居住者がアメリカに出張して役務を提供しても、米国滞在期間が183日未満の場合は、米国で課税されない。RSUやストックオプションは、権利行使時に、市場価格に基づいて給与所得として課税される。 公的年金は日米租税条約で居住地国での課税となる。アメリカの年金を日本でもらえば日本の課税で、日本の年金をアメリカでもらえばアメリカの課税となる。 これは一般的な情報であり、個々の状況によって異なる場合がありえる。個別具体的なケースは実態的な判断が必要となるのだが、大まかには上記の枠組みでForm 1040-NRの情報を整理することになる。

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2024.04.21
所得税

変則な申告期限のおかげで

それはコロナウイルスのためだった。2020年の申告期限は、本来、2021年4月15日だったものが2021年5月17日まで変更されている。 今さら3年前の話をして何なのかと思うかも知れないが、これが大きな意味を持つ。即ち還付金の請求期限と直接に結びつくからだ。 と言うのは、IRSは3年を超えて還付を申請しても、還付に応じない。その2020年申告の期限が2024年5月17日までとなる。 ではどうして、これが意味をもつのかと言えば、コロナウイルスの給付金の申請と結びつくからだ。給付金は一人あたり、2020年で$1,800、2021年で$1,400の合計$3,200(ざっと50万円)給付されている。 このうちの2020年分の$1,800を、現状では税金の還付金としてもらう形になっている。本来ならば2024年4月15日までに還付申請しなければいけなかった。でも2020年分の申告期限が2021年5月17日だったために、その申告期限が2024年5月17日までとなる。 今から動いても約1か月近く時間がある。 IRSも何度か2020年の申告を促し、還付金をもらうように言っている。IRSの推計では、2020年の納税申告書を提出していないため、10億ドル以上の還付金が未請求のままとしている。 2021 年のコロナ給付金の請求は、2025 年 4 月 15 日までに2021年分の申告書を提出する必要がある。こっちはまだ1年近く時間的な余裕がある。しかし、2025 年 4 月 15 日まで待つことはなく、2020年と2021年の2年分をここで申告して合計金額$3,200をもらうのが良い。 納税者は、申告期限から 3 年以内に申告し、還付を受ける請求ができる。 2020年の納税申告書の場合、2021年5月17日の納税期限から3年後2024年の5月17日が還付申告の提出期限となる。

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2024.04.14
所得税

延長申請を行う

一生懸命に申告書の準備をしてほぼ申告書が出来上がったとしても、思いもかけないことが起きて申告期限までに申告書を提出できないことがあり得る。自然災害に出会ったり突然の病気になったり、アメリカの申告どころではないということもあるだろう。 アメリカの個人所得税の申告期限は4月15日で、日本からの申告期限は6月15日(2か月の自動延長つき)だ。この期限にはForm 4868を提出して延長申請を行うことができる。これにより10月15日まで期限が伸びる。 延長申請を行わずに、申告期限を越えてしまうとLate filing penaltyの対象となる。これは未納税額に対して、毎月5%のペナルティーが加算され、最大5カ月上乗せされて25%に達する。 また、期限までに税金を納められなかった場合にはLate payment penaltyが発生する。未納税額に対して、毎月0.5%のペナルティーが加算される。Late filing penaltyのように上限は設けられていない。金利も上乗せされる。 Late filing penaltyが毎月5%で、Late payment penaltyの毎月0.5%の10倍も高く設定されている。高額なlate filing penaltyは、期限通りの申告を促す。申告書の未提出は、単なる納付遅れよりも大きなこととみなされる。一方、Form 4868を提出すれば、納付が遅れたとしても、納税する意思表示があると考えられる。 Form 4868はこのLate filing penaltyのダメージを軽減できる。延長申請を行うことで、10月15日まで申告期限が伸びる。ただし、期限延長はあくまでも申告期限の延長であり、納付期限は延長されないので注意が必要だ。もし納税額がある場合は、期限延長の申請時に概算納付をすることで、延滞金を最小限に抑えることができる。 申告期限の4月15日でも、Form 4868はすぐに提出できる。電子申告なら5分、10分で処理できる。紙の申告書でも書類の記載は数分で、郵便局から発送するだけだ。それが大きな節約になるなら、すぐに腰を上げるのが良い。

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2024.04.07
所得税

まだこれからです

あっという間に4月に入り、まだアメリカの申告が終わっていないけど、どうしたらよいかと言う問い合わせを受ける。4月15日が申告期限ということが頭にあり、申告ができていないと心配されている。 心配することはないですとお答えしている。それは申告期限の延長があるからだ。もともと日本から申告する場合は、2か月の申告期間の延長があるので、今年の6月17日期限だ。自動延長なので、特に手続きもいらない。 アメリカに住んでいる人も申告期限の延長は可能だ。アメリカに居住している人は、Form 4868を4月15日まで提出して延長申請を行う。これにより10月15日まで6ヶ月期限が延長される。なぜ延長申請を行うか理由の説明は求められない。 日本(海外)に住んでいる人は、2ヶ月の申告期限の6月17日でも間に合わない場合は、6月17日までにForm 4868を提出して延長申請を行うことができる。これにより4ヶ月の期間延長を認めてもらうことができ、10月15日まで期限が伸びる。 (申告期限) 1.通常の申告期限:4月15日2.日本(海外)からの申告期限:2024年6月17日(2か月の自動延長つき)3.延長申請による期限:10月15日(日米ともに) この6ヶ月延長は余裕期間なので、4月15日を過ぎて1週間後に申告書を提出しても、1ヵ月後でも10月15日までに申告すればよい。 期限延長による延滞税・金利が気になる。申告期限の延長は書類の提出を延長しているが、支払う税金の支払い期限を伸ばしてはいない。延滞税と金利は税額に対して%で計算される。税額x_%なので、税額が発生しない限り延滞税も金利もない。 税額が発生する場合は延滞税(申告書提出の遅れ・納付の遅れ)と金利が発生する。日本からの申告は何とか6月17日までに終わらせたいところだ。

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2024.03.31
所得税

Form 2555はありがたい

Form 2555は、外国に住んでいるアメリカ人やアメリカの税務上の居住者が、外国で働いて得る所得を控除してくれる。2023年では$120,000だ。 外国での所得を控除してくれるなら、不動産譲渡益や株式譲渡益までも控除してくれると良いのだがそうはいかない。しかしながら、所得は給与がほとんどと言うことになれば、$120,000は$1=150円だと1,800万円まで差し引いてくれて、課税対象の所得が無くなる事になる。 多くの人がこの恩恵を受ける。これ以上の金額の場合、控除が使えないという事ではなく2000万円の給与だと1800万円を差し引いて、200万円だけが課税となる。 では、給与が1000万円で、所得がこれだけと言う場合、課税される所得がゼロになってしまうので、申告書を提出しなくても良いのだろうか。 これらの申告書類を提出しないと、IRSから見れば課税所得があるにもかかわらず、無申告の状態でしかない。これをそのまま見過ごすことはできない。 Form 2555を提出して初めて課税所得がゼロになる。Form 1040にForm 2555を添付して提出しなければならない。また何の条件もなくForm 2555を使えるという事ではなく、適用の条件もある。 何気なくForm 2555を使っているかも知れないが、一度このForm 2555を使うと、この先、継続して使うことが前提になっている。Form 2555を使えるのに、使わない場合、向こう5年間はForm 2555を使えなくなる。 今年は使うことがなくとも、この先5年間どうなるのか見通すことができない。向こう5年間はForm 2555を使いませんと言えない場合は、権利を失効させるのはもったいない。 アメリカ国内にフルに住んでいる人には使えないForm 2555だ。外国に住んでいる人だけが恩恵を受けると言われるかもしれない。しかし、その土台は世界中に住んでいるアメリカ市民やグリーンカード所有者が、アメリカへの申告・納税の義務を持っている。Form 2555で外国との二重課税を緩和するありがたい仕組みだ。

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2024.03.24
所得税

Schedule Bに気をつけて

ScheduSchedule Bは、利子と配当を記入する付表だ。フォーム1099-INTおよび1099-DIV等の情報からSchedule Bを完成させ、付表はForm 1040のline 2aや2bやline 3aや3bにつながる。 アメリカの金融機関からはForm 1099-INT, Form1099-DIV, Account statementをもらう。報告対象はそれだけにとどまらない。日本に住んでいる人、または海外に住む日本人なら日本に金融口座を持っている。日本の利子や配当もForm 1040申告の対象だ。自分で情報を集めて申告をすることになる。 一生懸命、時間をかけてSchedule Bを作った。ところが利子又は配当のいずれかが$1,500を超えないとSchedule Bの提出要件を満たさない。Schedule Bを出す必要がないと気づく。この場合は、最初からForm 1040に記入すればそれだけの話と思うかも知れない。 しかしこのSchedule BのPart 3は、情報申告とつながっている。情報申告は税務申告の他に、様々な情報を報告する制度で、外国金融口座の残高報告もその一つだ。つまりPart 3が何なのか意識もせずに読み飛ばし無視をすると、最悪の場合、情報申告のペナルティに跳ね返ってくる可能性がある。 Schedule BでPart 3の申告要件を意図的に失念し、口座や残高を隠そうと努力することは申告義務を無視したとされ、意図的な無視となり得る。 一方で、Schedule Bで間違えて違うボックスにチェックを入れたり、どこにもチェックを入れなかったりしたことだけでは、意図的に無視したことにはならない。 外国金融口座の申告を行わないペナルティには二つある。Willful Conduct(意図的な行為)とNon Willful Conduct(意図的でない行為)の二つに対するものだ。 これによってペナルティの重さが異なる。Willful Conductは申告漏れの対象財産の上限50%か$100,000の大きい方であり、場合によって刑事罰もある。Non Willful Conductは上限$10,000だ。もちろん機械的に適用されるかどうかはあるにせよ、可能性は排除できない。 Schedule B Part 1, Part2に情報を記載してお終いではなく、むしろPart 3を忘れずに記入することが必要だ。

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2024.03.17
所得税

日本の給与をForm 1040に入力する

日本からアメリカに申告をするケースの話だ。Form 1040の最初の行1aはForm W-2のボックス1のデータを入れると書いてある。そもそもForm W-2とは何だと調べて、日本で会社からもらう給与の源泉徴収票の事だと理解する。 早速、日本の源泉徴収票から給与を報告するため、Form 1040とにらめっこして支給金額をline 1aに入れる。日本の源泉徴収票の情報は日本語でも良く分からない。何となくアメリカとは関係なさそうだから、まあいいかと思い、源泉徴収額はPayments line 25aの所に入れると判断する。 Form 1040のline 12で標準控除を入れ、line 15で課税所得が出る。課税所得に税率が掛けられてline 16で税額が発生する。この税額からline 25aで源泉徴収された分を引く。 税額と源泉徴収された額との大小比較する。税額<納付金額 ⇒差分を還付税額>納付金額 ⇒差分を納付 大枠はこれで良いと思う。アメリカに住んでいる人でForm W-2の場合はそれで良いだろう。 しかし、日本に住んでいる場合、源泉徴収額はアメリカに対して支払っているものではない。日本に払っているものだ。それを税額の精算をする時に使って話はおかしくなる。そんなの当たり前じゃないかと思うだろう。その判断がつくなら良い。 この場合は、日本の給与はLine 1aではなくline 1hのOther earned incomeに入れてline 1aには入れていないだろう。もちろんline 25aにも入れない。 ところが、税務ソフトを使って申告書を作ろうとする場合だ。画面と対話して情報をどんどん入れていく。税務ソフトはアメリカの実態に合うようにできている。海外の個別的な状況を必ずしも全部取り込めずに限界がある。機械的に日本の源泉徴収額をTax withheldという所にうっかり入れかねない。 その結果、出てきた答えが還付だ。でも、アメリカに税金を払っていないのに、税金の払いすぎだから、アメリカから還付ってどんなことかわかるだろう。 すると一つの給与に対して日本の税金を払い、アメリカの税金を払うことになって二重課税になってしまう。これを避けるためには外国税額控除を使ってとかになると、いきなり複雑な領域に足を踏み入れることになりかねない。 ソフトを使う側がある程度の知識があり、ソフトの出す答えが正しいのかどうか判断できなければいけない。これはAIが出してくれる答えを、そのまま飲み込んではいけないと言う事に通じる。

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2024.03.10
所得税

どこから申告書を作るか

申告書を作るにはデータを集めなければいけない。データが集まったら申告書に記入していく。この申告書は本表であるForm 1040とその部分を構成する付属表から成り立っている。 Form 1040は個人の所得税を申告するフォームの名前だ。さらにその部分を構成する次のような付属表がある。 Schedule A: 項目別控除Schedule B: 利子・配当Schedule C: 個人事業主の事業損益Schedule D: 譲渡損益Schedule E: 賃貸事業Schedule SE: 自営業税計算その他 さて、集まったデータをもとに、本表であるForm 1040に記入する。頭から単純に数字を記入できると良いのだが、個人事業や賃貸事業などがあったり、株や不動産などの譲渡損益があると付表に記入することになる。 例えば個人事業を行っているとSchedule Cを使う。賃貸事業を行っていればSchedule Eを作る。株式の譲渡損益だとSchedule D なのだが、その前にForm 8938を作ることになる。 これらの付属表を作っているうちに、所得や経費が漏れていたり、減価償却計算が間違っていたりとかすれば、その都度付属表を直していく。 付属表と本表は連動しており、付属表の中身が変わるごとに本表が変わってしまい、その修正を何度も行うことになる。やっているうちに何がどこまで連携しているのか迷子になりかねない。 と言うことは付属表をしっかりとまとめてから、本表に転記すれば良い。付属表ごとにブロックとしてまとめ、そのブロックを積み上げて申告書Form1040が出来上がる。付属表ごとに下から積み上げて出来上がった申告書を、さらに上から見直して全体がきちんと整合しているか確認する。

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2024.03.03
所得税

日本に住んでいるからアメリカに申告しなくてよいか?

日本に住んでいるのでアメリカに申告しなくて良いということは正しいだろうか。正しくもあり、間違ってもいる。申告をしなくて良いケースがあれば、申告をしなければならないケースもある。 基本的に申告の要否は居住者と非居住者で別れる。居住者とは住んでいる人のことだから、アメリカに住んでいない。だからアメリカに申告することはないと単純には言い切れない。 アメリカの税務では居住者を属性で判断する。アメリカ税務上の居住者か非居住者か判断する時に、次の3条件のいずれかを満たせば居住者となる。すべて当てはまらないとアメリカ非居住者となる。 (1)アメリカ市民権を持っている(2)グリーンカードを持っている(3)Substantial Presence Testによりアメリカ滞在日数が183日を越えている㊟ アメリカは属人的に居住者・非居住者の判断を行う。アメリカを除くほとんど世界中の国は属人的な判断をしない。その国に足を載せて住んでいる人が居住者だ。国外に転出するとその国の居住者ではなくなるという属地的な考え方を取る。 アメリカは属人的に判断するので、住んでいるところは影響しない。日本に住んでいても上述のアメリカ市民権を持っている人、グリーンカードを持っている人は税務上のアメリカ居住者だ。アメリカの申告の対象者となる。 では、全くアメリカ市民権やグリ―ンカードと縁がない人はどうだろう。アメリカの税務と接点がないと考えると間違えることがある。次のようなアメリカを源泉とする所得があれば、アメリカの申告対象となるからだ。 給与所得: アメリカで役務を提供して得た給与、賞与、退職金など事業所得: アメリカで事業を営んで得た所得不動産所得: アメリカにある不動産から得た賃貸料など譲渡所得: アメリカにある資産を譲渡して得た所得配当所得: アメリカの投資から得た配当その他 日本に住んでいる人であっても、アメリカを源泉とする所得があればアメリカの申告が必須となる。 アメリカに1週間、10日出張してアメリカで役務を提供した人もすべてアメリカの申告をしなくてはならないのか。理屈はそうなるが、日割り計算をすることになり、あまりにも申告の負担が大きくなる。この場合は183日以内の滞在で、自国から給与が払われている場合、日米双方で出張にかかわる給与は相手国の所得税の非課税としている。 日本に住んでいるからアメリカの申告の対象外、と単純に考えると間違えることがある。㊟(Substantial Presence Testの数え方) ①当年度の滞在日数が31日以上ある②申告対象年のアメリカ滞在日数+申告対象年の前年のアメリカ滞在日数×3分の1+申告対象年の前々年のアメリカ滞在日数×6分の1≧183日

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