連邦贈与税
(2005-6-26)

贈与税と遺産税は財産を無償で他人に譲渡することに課税される税金です。財産を移転することは生きている間でも行いますし、亡くなった時でも行われ、境目がありません。生きている間に行われるのが連邦贈与税です。亡くなる事による遺贈は遺産税です。そのため、個人が生涯を通じて行う、贈与と相続を一体のものとして課税します。贈与をする人が課税をされるのは遺産税と同じです。

贈与税においても遺産税と同じように、当事者がアメリカ市民か居住者か非居住者なのか大きな問題になります。

日本人が関係する場合、きわめて単純化すると次のような4つケースになります。
(1)アメリカに住んでいる親がアメリカに住んでいる子供に贈与する。
(2)アメリカに住んでいる親が日本に住んでいる子供に贈与する。
(3)日本に住んでいる親がアメリカに住んでいる子供に贈与する。
(4)日本に住んでいる親が日本に住んでいる子供に贈与する。
条件:アメリカに住んでいるというのはアメリカの居住者で、日本の非居住者
    日本に住んでいるというのは日本の居住者でアメリカの非居住者


アメリカの贈与税が直接関係してくるのは、(1)と(2)のケースになります。(3)と(4)のケースでは、アメリカにある財産であればアメリカの贈与税の対象で、日本にある財産ならば、アメリカの贈与税の対象外となります。

(3)と(4)のケースの場合でも、さらに例外事項があり、有体財産(現金とか・不動産など)か無体財産(有価証券・権利など)で、扱いが異なります。なお、日本にいても税務上アメリカの居住者ならば、アメリカの贈与税の対象になります。

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連邦贈与税の控除
(2005-6-26)

連邦贈与税に対しても、控除項目があります。

(1)年間控除

2005年時点では、贈与する人、一人につき、年間11,000ドルまでは非課税です。夫婦ではその倍の22,000ドルまで非課税となります。この金額以上に贈与をした場合、課税されることになります。
529プラン

最近注目を浴びている529プランという学資投資はこの年間控除額を使って行われます。529プランの場合、特別なルールによって、通常ならば毎年$11,000の上限があるところを5年分先取って贈与できるため、1年目の投資で贈与人は受取人1人につき$55,000まで投資できるのが魅力です。


(2)医療・教育目的控除

これは、医療又は教育のために、贈与がなされる場合は、上限なしに贈与できます。しかしながら、適格な譲渡であることが条件で、医療機関または教育機関に直接支払われたものです。また、内容が問題で、教育費としての授業料は対象になりますが、寮費や書籍代等は含まれません。

(3)慈善寄付控除

慈善団体として、非課税と認可されている団体に寄付した場合は、無税となります。仮に津波に対する慈善寄付でも、アメリカ国内の慈善団体で認可を受けていればよいのですが、外国の団体で、アメリカの慈善団体として認可を受けていない場合は、無税の慈善寄付とならないことがあります。

(4)夫婦間控除 

夫婦間贈与を前提として、次のケースがあります。
(1)アメリカ市民の夫(妻)がアメリカ市民の妻(夫)に贈与する。
(2)アメリカ市民の夫(妻)が日本人の妻(夫)に贈与する。
(3)日本人の夫(妻)がアメリカ市民の妻(夫)に贈与する。
(4)日本人の夫(妻)が日本人の妻(夫)に贈与する。


この場合、(1)と(3)では受贈者がアメリカ市民となり、金額無制限の配偶者控除があります。反対に(2)と(4)の場合は、金額の上限があります。2005年では、年間控除額が$117,000です。アメリカ市民だけが優遇されます。

都度、贈与税を払うかどうか


年間非課税贈与枠を超えた場合には課税対象となり、贈与税が課されます。この場合に、贈与税を支払うことでも、生涯$1,000,000の贈与税課税免除額を充当することでも、どちらでも可能です。

(1)都度、贈与税を払う。 生涯の贈与税課税免除額が減少せず
(2)生涯の贈与税課税免除額を充当する。 生涯の贈与税課税免除額が減少する


贈与を行う人、1人につき生涯$1,000,000の贈与税課税免除額が与えられるため、実際には課税対象贈与が$1,000,000を超えるまでは無税となります。

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連邦贈与税の計算例


贈与税の計算は、累積的に行います。そこから過年度分を差し引き、当年度分の贈与税額となります。

計算例:1997年に$500,000の贈与をしている。2005年に息子に$2,000,000の贈与を行った。

子供に対する贈与額

$2,000,000

年間控除額マイナス

$11,000

課税対象贈与額

$1,989,000

従来に行っていた贈与 ($500,000-10,000)

$490,000

課税対象贈与額累計

$2,479,000

課税額

$1,005,930

以前の贈与への課税額 ($490,000)

$152,400

今回の贈与に対する課税額

$853,530

生涯控除限度枠 に対する控除分(2005)

$345,800

既に使った控除

$152,400

控除の残り分

$193,400

2005年贈与税額

$660,130


州の贈与税
 
  コネチカット、ルイジアナ、ノースカロライナ、テネシーの4州が連邦贈与税の他に州の贈与税を課します。
コネチカットは2005年末で廃止。


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贈与と遺贈の取得コスト

贈与と遺贈では所有権が移転されるものの取得コストが異なります。贈与はキャリーオーバー方式で、遺贈はステップアップ方式を使います。

例:取得時の価格が20万ドルの家を贈与または遺贈されるとします。現在の市場価格が50万ドルとします。
贈与で取得した場合は、20万ドルの取得コスト(キャリーオーバー方式)となり、遺贈の場合は50万ドルの取得コスト(ステップアップ方式)となります。仮にある時期にこの家を60万ドルで売却した場合、次のようにゲインが変ります。

贈与の場合のゲイン:40万ドル(=60万ドル−20万ドル)
遺贈の場合のゲイン:10万ドル(=60万ドル−50万ドル)

贈与税がかからない贈与

生涯控除額を減らさないで贈与税がかからない場合は次のようなものです。

(1) 年間非課税贈与額内での贈与
   年間の非課税贈与額は11,000ドルです。(2005年ベース:暦年で贈与を受ける人あたり)
(2) 慈善にたいする贈与
   事前寄付控除を取るためには、慈善団体が税制適格な団体であることが必要です。
(3) 教育費の贈与
   贈与者が学校に直接贈与することが必須です。授業料が対象であり、コンピュータを買ってあげるとか寮費や食事代を贈与することは含まれません。
(4) 医療費の贈与
   医療費の贈与も人道的な立場から税金がかからないのですが、個人に贈与するのではなく、直接病院に行うことが必須です。
(5) 夫婦間贈与
   アメリカ市民の間では、無制限に贈与しても課税されませんが、外国人(日本人)配偶者が贈与を受ける場合は117,000ドル(2005年)以上は課税対象になります。

贈与の申告

非課税枠を超えて贈与を行うと、課税贈与となり、IRSにForm709を提出します。提出期限は翌年4月15日となります。では実際に課税により税金を納めるのかと言いますと、必ずしもそうではありません。生涯控除の2005年では$1百万までの控除があります。この控除枠を超さない限り税金を納めることはありません。ただし、この$1百万の控除は、個人の生前、死後の共通控除であり、生前にこの枠を使い切れば、死後の連邦遺産税の計算では控除が全くなくなってしまいます。

贈与を行う人は、基本的にその分を費用とはできませんし(適格な慈善寄付を除く)、もらった人は所得とはなりません。もしも贈与が現金ではなく、株式や不動産等の場合その取得額や、保有期間がわかる記録も一緒につける事が大切です。


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