トラスト

リビングトラスト

遺産相続計画の目的は、相続財産をいかに減少させずに、短期間に相続すべき人に渡していくかと言うところにあります。そうしますと、検認裁判を受けると、経費もかかり、時間もかかることになりますので、検認裁判を回避するいくつかの方策があります。リビングトラストは、エステートプラニングの最も人気の高いやり方の一つです。ただし、一般論ですから、どんなケースにも必ず有効かどうかは慎重な見きわめが必要です。

これはトラストを作る人が、生きている間に作られるトラストであるため、living trustと呼ばれます。亡くなった後に作られるトラストはtestamentary trustと呼ばれます。リビングトは個人とは全く別の法的存在で、信託の管理人が行う受益者への財産移転は裁判所を介しません。すなわち検認裁判を回避できます。

リビングトラストを作り、自分自身を信託資産の管理者に任命します。そして、いざという時のために、信託資産の管理人の後継者を家族の誰かにしておきます。さらに、資産を相続する人も決めておきます。それから個人の財産(銀行預金、株式、ボンド、不動産、生命保険、個人の財産等)をトラストに移転しておきます。

一度、移転してしまうと自分の意志を反映できなくなると思われますが、慎重に行えばそうではありません。そして、いざという時には、検認裁判なしに財産が相続する人に渡されます。

注意しなければならないのは、リビングトラストは遺産相続にかかる費用を減少するものであっても、遺産税額そのものを減少させるものではありません。さらに遺産税そのものを減少させるために一般にバイパストラストと呼ばれるものがあります。

A-B トラスト

遺産税を低減するスキームとしていろいろなトラストがありますが、最も人気があるものの一つがA-Bトラストです。

一般に米国市民である限りは、配偶者控除があり、夫から妻(その逆も)への財産の移転に関しては全く税金がかかりません。但し、財産を受け取る配偶者が外国人の場合は、金額制限があり注意が必要です。さて、配偶者控除があれば税金はかからないのですから、良いのですが、問題は二次相続で発生します。

(節税策無しの場合)
  仮に夫婦の共有財産が$4,000,000とします。夫がなくなった2005年の時点で、妻は夫の$2,000,000を相続します。この場合、配偶者控除があるために、遺産税はかかりません。ところが2006年に妻がなくなると、子供が$4,000,000を相続するとします。2006年では$2,000,000を超える$2,000,000は課税対象となり$780,800の遺産税が課税されます。
 
(A-Bトラスト)
  上記の例で夫婦はA-Bトラストを作ります。夫がなくなった時点で、夫の$2,000,000はトラストに入れられて、妻が生きている間存続します。2006年に妻がなくなると、トラストの分はUnified Credit内の遺産ですから遺産税がかかりません。妻の$2,000,000の分も、Unified Credit内の遺産であるため遺産税を免れることができます。

すなわち、上記ではA-Bトラストを使うことで$780,800の遺産税額が発生しないことになります。

注意しなければいけないことは、ねらいはできるだけ多くの財産を相続する人に渡すのが目的ですから、これが有効としてもUnified Credit内におさまる遺産ならば意味がありません。また、このスキームに関わるコストが遺産税額よりも少ないことが条件です。

QDOT

  配偶者控除は夫婦が、1つの経済的なユニットとして考えられるために、財産の移転権に課税しないというものです。一方、子供に対してはその移転課税を認めるものです。しかしながら、配偶者控除も、配偶者が外国人の場合、残った配偶者が一切の課税を受けずに資産を手にして外国に行ってしまうのは具合が良くないと言うことで、制限があることを述べました。

タックスプランニングを考えた時に、弁護士から良く進められるスキームにQDOT(=Qualified Domestic Trust)があります。今回はこれを考えてみます。一言でその利点を言うならば、米国市民権を持つ配偶者の控除と同じように、その時点では残された米国市民権を持たない配偶者に、一切の課税が発生しないと言うものです。そして残された配偶者が亡くなった場合、子供が相続をする時に、遺産税の課税が起きますから、QDOTは課税の繰り延べ効果があります。

QDOTの要件としてはTrustee(被信託人)の一人は米国市民権を持たねばならないとか、2百万ドル以上の資産の場合は、被信託人は米国銀行か信託会社でなければならない等の要件があります。これは、取消不能トラストですから、残された配偶者が存命の間は資産が米国に固定されることになります。ですから、仮に日本人が資産を日本に移転して、日本で暮らしたいという場合は、望ましいものではありません。

資産価値が変動する場合は、遺産税を払っても資産を処分する事の方が合理的な場合もあり、その方の固有の事情を検討しなければなりません。

それではいっそのこと米国市民権を取得すればいいと言うことになります。この場合は、時間が2年はかかると言われており、配偶者が存命中に手続きをしなければいけませんので、かなり余裕を持って準備をしなくてはなりません。


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