居住形態と
課税所得の範囲



アメリカの居住者ならば、全世界所得に対する課税が行われ、アメリカで得た所得の他に日本で得た所得に対しても課税されます。日本の居住者ならば、全世界所得に対する課税が行われ、日本で得た所得の他にアメリカで得た所得に対しても課税されます。

日本の居住者がアメリカで得た所得に対して、日本で税金を払っているので、アメリカでは税金を払う必要がないと考えてはいけません。アメリカはアメリカを所得の源泉とするものに対しては課税をするのが基本です。そうなると、アメリカと日本の両国で二重に課税を受けてしまいます。これを避けるために、アメリカで払った税金を日本の税金から外国税額控除を行います。この構造はアメリカから見ても同じです。

(課税所得の範囲)

アメリカ:
居住者 全世界所得課税
非居住者 アメリカ源泉所得のみ


日本:
居住者 全世界所得課税
非永住者 国内源泉所得のすべてと国内源泉所と国外源泉所得のうち国内で支払われたか、国外から送金された部分
非居住者 国内源泉所得のみ


諸外国との間で租税条約が締結されている場合で、所得税法と異なる定めがある場合には租税条約の定めによります。

アメリカの居住者はアメリカに入国した日から出国するまで全世界所得課税を受けます。日本に所得が発生している(貸家の家賃など)場合は、アメリカの所得の中に含まれます。一方では、日本の預金や不動産所得などは、アメリカ居住の間でも日本の課税を受けます。



国内源泉所得と
国外源泉所得

(アメリカ)非居住者の場合はアメリカ源泉所得に対してのみ課税されるわけですが、アメリカ源泉所得とは一般にアメリカの事業や投資で生み出されるものです。

所得の源泉が米国内か米国外か判断する基準をまとめると以下の通りとなります。
国内源泉所得 国外源泉所得
人的役務所得(給料、賃金等) 米国国内で役務提供 国外で役務提供
配当(追加説明) 米国法人からの配当 外国法人からの配当
利子 支払者が米国居住者 支払者が米国非居住者
不動産賃貸料・売却益 不動産の所在地は米国 不動産の所在地は米国以外
棚卸資産の売却益(他から購入し再販売) 販売が米国国内(=米国国内で所有権が移転) 販売が国外(=国外で所有権が移転)
棚卸資産の売却益(国内製造し海外販売) 国内源泉と国外源泉に按分する。 国内源泉と国外源泉に按分する。
有価証券の売却益 売却者が米国法人・米国居住者 売却者が外国法人・米国非居住者
資産売却 資産がアメリカにある 資産がアメリカにない


アメリカ:

アメリカ源泉所得とは次のようなものを言います。

1) アメリカで提供された役務に対する給与・賃金・コミッション・チップなど
2) 利子
3) 配当
4) アメリカにある財産から生ずる賃貸料
5) アメリカ国外で購入しアメリカで在庫となっているものの売却や交換から生まれる所得
6) アメリカの不動産売却から生ずる所得

日本:

国内源泉所得の範囲
[平成16年4月1日現在法令等]

 居住者については、原則として、日本国内はもちろん国外において稼得した所得も課税対象とされますが、非居住者等については、国内の「国内源泉所得」のみが課税対象とされます。
 それでは、「国内源泉所得」にはどのようなものがあるかを説明します。
(1) 国内において行う事業又は国内にある資産の保有・運用あるいは譲渡により生ずる所得
(2) 国内の土地、土地の上の権利、建物、建物の附属設備、構築物の譲渡による対価
(3) 国内で人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価
例えば、映画俳優、音楽家等の芸能人、職業運動家、弁護士、公認会計士等の自由職業者又は科学技術、経営管理等の専門的知識や技能を持つ人の役務を提供したことによる対価がそれに当たります。
(4) 国内にある不動産や不動産の上の権利等の貸付けにより受け取る収入
(5) 日本の国債、地方債、内国法人の発行した社債の利子、国内の営業所に預けられた預貯金の利子等
(6) 内国法人から受ける利益の配当や剰余金の分配等
(7) 国内で業務を行う者に貸し付けた貸付金の利子で国内業務に係るもの
(8) 国内で業務を行う者から受ける工業所有権等の使用料、又はその譲渡の対価、著作権の使用料又はその譲渡の対価、機械装置等の使用料で国内業務に係るもの
(9) 国内での勤務に対する俸給、給料、賃金、歳費、賞与、退職手当や公的年金等
(10) 国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品

 以上、国内源泉所得のうち、代表的なものを説明しました。
 これらについての課税方法は、国内源泉所得の種類や恒久的施設の有無によって異なります。なお、租税条約によって国内源泉所得について異なる定めがある場合は、租税条約に従うことになります。
(所法5、161、162、164、所令282)


 



課税方式

アメリカ源泉所得かそうでないかを判定した後は、事業所得かそうでないかを決めることになります。非居住者のアメリカ源泉所得に対する課税のやり方には2つの方法があります。

アメリカ:
(1) アメリカでの事業から生ずる所得 通常の申告納税による
(2)アメリカでの事業外で生ずる所得 源泉徴収(30%一律ですが、租税条約で軽減税率適用)


日本:
居住者 申告納税方式
非居住者 国内に恒久的施設(P.E.)を有する場合:申告納税方式
それ以外の場合:源泉徴収方式


「給与又は報酬等に係る国内源泉所得の考え方」

@ 基本的な考え方
国内で行う勤務等に対応する金額 国内源泉所得
アメリカで働くことの給料が、日本の本社から支払わる 国外源泉所得


*国内源泉所得の判定:給与等の支払地(国内・国外)ではなく、勤務等がどこで行われたかで判断されます。
*アメリカで働く給料が、日本の本社から支払われても国外源泉所得に該当します。反対に外国法人の日本支店に勤務する外国人社員の給与が、外国に所在する本店から支払われている場合でも、外国人社員の日本勤務に対応する金額は日本の国内原泉所得となります。
*日本の内国法人役員:日本の所得税法では、日本の内国法人役員に支払われる報酬等は、原則として、勤務地に関わらずその全額が国内源泉所得とします。しかし、日米租税条約では、法人の役員の資格で取得する役員報酬その他これに類する支払は、支払国において租税を課すとしています。

A 勤務が国内及び国外の双方にわたった場合の国内源泉所得の計算 

海外勤務者や外国人社員等に関しては、その勤務が国内・国外にわたって行われることが常態となります。その場合の国内/国外源泉所得の計算は、下記甲算式によることとされています。

 前頁の算式を実務上適用するにあたっては、実際の国内及び国外での勤務日数等を使用することになります。

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